ブレッソン、レネ、メルヴィル、タルコフスキー
2月下旬より渋谷のユーロスペースにてロベール・ブレッソンの
「罪の天使たち」が上映される。
また現在、渋谷シアター・イメージフォーラムにてタルコフスキー映画祭が
開催中であり、同館では2月下旬よりアラン・レネの「去年マリエンバートで」
「ヒロシマモナムール 邦題(24時間の情事)」も上映を控えている。
そして神保町・岩波ホールでも2月下旬からメルヴィルの「海の沈黙」、
続いてブレッソンの「抵抗」が上映される。
こうした世界映画史に残る名画の再上映という流れは、
アート系映画の人気低迷により配給会社が新作の配給権購入を
見送っていることに起因する現象なのだろうが、考えてみれば
不朽の名作を立て続けにスクリーンで観られるチャンス、
なぜこれらの名画が不朽の名画たりうるのかその理由を知る
絶好の機会といえるだろう。
それぞれの作品はもちろんテーマも違うし監督たちのスタンスも異なる。
しかし彼らには、大いなる共通点がある。
それは、確固たる自身の哲学と時代を超えた普遍の眼差しを有し、
厳しく自己の内面をみつめ、あくなき“人間”の探求を行い、
真理に至る道を模索し続けた、そんな作家であるということ。
その結晶がこれらの作品なのである。
そしてここには、現代の映画から失われつつある真の芸術性が
確実に存在している。
あの頃の大人は本当の大人であり、人間としてスケールが大きかった。
彼らの作品に接するといつも、そんなことを思うのである。(T)