「海辺のポーリーヌ」先日、紀伊国屋書店に行ったとき、
たまたま通りかかったコーナーにDVDがずらりと並んでいた。
紀伊国屋書店で扱うくらいだからかなりの名作が揃っているのだが
気になったのは、あのロメールのDVD-BOXが山積みで並べられていたこと。
巨匠監督に関してDVDのBOX物はよく組まれる企画ではあるが、
それはおそらく、良いものを広めたいという芸術的良心が根本に存在しているはず。
ただ単純な利益重視の商売であればけつしてロメールのような作家、
またアンゲロプロスのような哲学的作家のBOX物などは手がけなかったであろう。
しかしながら自分も含め、いざ購入して鑑賞するにはいかにも手を伸ばしにくい。
このことは、世の中がDVDからブルーレイへと移行してゆく
いわゆるハードメーカーの都合によって生じるしわ寄せという側面もあるのだろう、
今後、かつてビデオが辿ったのと同様の道をDVDも辿ってゆくよくのだろうか。
あの、在庫処分のように見えてしまう陳列方法はせっかくの素晴らしき志と、
良質の芸術そのものの価値を貶めているように見えて仕方がない。
ともあれ、プラス思考でゆくならば、これはあのロメールの名作を
“安く”で手に入れられるまたとないチャンスである。
あの「緑の光線」や「満月の夜」といった名作が鑑賞できるのである。
そこで一本となると、自分なら「海辺のポーリーヌ」か。
あの名撮影監督アルメンドロスと組んだ、若さに満ち溢れたこの作品は、
ロメールも含めわずか6名のスタッフと6名のキャストで製作された。
製作者たちは一流となると、その名声に見合った予算や大勢のスタッフのなかで
作品を撮らねばならなくなってくる。
そんなときに、かつての、まだ映画に対して瑞々しい感覚を持ちえていた頃の
自分に立ち返るがごとく、このようないわゆる低予算の作品に戻ってこられる
感覚からも、ロメールやアルメンドロスの地に足のついた真の芸術家としての
資質が見て取ることができると思う。(T)
エリック・ロメール コレクション 海辺のポーリーヌ / 紀伊國屋書店
ISBN : B000MEXALA
テレビでも、、wowow10日(金)am8